Book Review サラバ! 西加奈子著

サラバ!(上) [ 西加奈子 ]

価格:1,728円
(2016/12/24 23:48時点)
感想(23件)

サラバ!(下) [ 西加奈子 ]

価格:1,728円
(2016/12/24 23:52時点)
感想(23件)

途中からですます調になってるのは僕に説明がつかない。

この小説は前から絶賛の嵐舞っていて、否定的な意見がまるで聞こえてこかなかった。それに僕は賛同しかできない。
様々な人がこの本を形容するために様々な言葉を使ったと思う。それはとても自然なことで、この本は感情をとにかく揺さぶる。はじめは同情し、怒りを感じ、情けなさを感じ、孤独を感じ、そして揺るぎない確かなものを感じる。ただ今挙げた言葉も全て間違っていて、この小説には言葉にならないものを言葉にするのではなく、言葉以上に人間が考えることを感じさせる小説なのだ。
僕は一言この小説を表すなら「ありがとう」
懺悔のありがとうかもしれないし、親愛なる友へのありがとうかもしれない。ただ僕はこの小説を書いてくれた西さんに感謝をしたい。心からそう思う。

物語は一人称で書かれていて、歩がこの世界に右足を出した時から、現在に至るまでの私小説(なのかもしれない)という形で物語は進行する。
容姿端麗で強気な母と、穏やかな父と、乱暴ということばでは片付かない、おかしい姉と歩の四人家族だ。
歩は母譲りの美少年として育ち、一方姉はイグアナのような顔をして、強烈なインパクトを残す個性的な顔として育つ。
様々な場所で様々の横暴を起こす姉とは対照的で、美少年の歩は物静かで周りに合わせ、相手のご機嫌伺うと言った、少し大人びた少年であった。
そんな家族の物語である。

あらすじはこんな感じです。
僕はこの本をまず歩になったつもりで読んでいってもらいたいです。1歳なら1歳、七歳なら七歳。
しかしいつの間にか俯瞰で読んでいるようになっている。これがとても不思議で、何でこんな簡単にこちらの心を掌握してしまうのだろうかと、不思議に感じてきます。
さらに不思議なのは、俯瞰で読んでいるのに、歩の中の入ったような感覚まで出てくるのです。歩の苦しみがとても良くわかり、行動も褒められたものじゃないんだけど、どうにかこいつをしてやりたいと、まるで友達にでもなったかのような気持ちになるのです。
人生とは必ず色々なものに振り回れます。物理的にも嵐が来たら何かに捕まるしかないです。でもそこには必ず自分がいて、嵐から守っているのは自分が掴みかかっている木ではなく、自分の腕と足です。
自分を持ち、自分を信じ、そしてそれを自分で見つける。そのことは色々な有名人や著名人が偉そうに実体験を語ってきましたが、人々の心にどのぐらい響いたでしょうか。
これはフィクションで小説です。でもその有名人や著名人の実際の言葉より、痛みを伴う物語、この上下巻を読むだけで、目から自分の血潮に流れていくのです。
こんな時代だからこそ、何が真実なのかわからない時代だからこそ、この嘘の小説を読んで本当に信じれるものを掴みとることの大切さを学びました。

上下巻で抵抗があるかと思いますが、是非手に取り読んでみてください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です